Case Study 1

社内申請・承認業務をスムーズに完了させる業務アプリ

Overview

概要

2010年以前に構築されたことを想定した社内の申請・承認ツールを題材に、UI/UXの改善前後を比較したコンセプトケーススタディです。多すぎたメニューを機能ごとに見直し、似た機能をまとめながら項目数を減らしました。あわせて情報の階層を整理し、申請者の操作ステップを分けることで、画面を見るだけで次の行動に進めるような設計を意識しています。

本ケーススタディでは画面全体の構成と主要なインタラクションに焦点をあて、Beforeは静止画、Afterは主要フローを抜粋したプロトタイプとしてまとめました。

Role

UI/UXデザイン

一人制作

Tool

Figma

 

Type

自己課題

ポートフォリオ用

Target

社内稟議の申請者/承認者

ITリテラシーに幅あり

Device

Desktop用アプリ

 

Scope

主要画面5箇所のBefore/After比較

静止画+プロトタイプ

解決すべき3つの課題

情報過多で階層がない画面

何が重要か判別できず、内容把握に時間がかかる

アプリ内で対話ができない

差戻しのやり取りが画面外に流出し、作業が完結しない

業務の全体像が見えない

承認ルートや進捗が分からず、次のステップが想像しにくい

Before/After 1

主画面の比較①

ホーム画面(申請者側)の改善:『今やるべきこと』が伝わるダッシュボードへ

Before

課題

ダッシュボードでありながら情報を詰め込みすぎていて、「今の状態を一目で把握する」というダッシュボード本来の役割を果たせていない。

  • グローバルメニューに優先度の低い項目まで同列に並んでいて、次に取るべき行動を想像しづらい

  • 一覧テーブルの列数が多く、横スクロールしないと全項目を把握できない

  • 優先度の低い指標が多く、視覚的にノイズが多い

再設計

After

Loading prototype...
改善点

ホーム画面を「今やるべきこと」を集約するための画面と考え、それ以外の機能はワンクリック先に整理した。

  • 本アプリの機能は「全体の要約」「進行中の申請の管理」「完了した申請の確認」の3つに大きく分けられると考え、グローバルメニューをこの3項目に整理した

  • ユーザーがこのアプリを開いた時に何を一番やりたいかという観点で項目を絞り、それをもとに4種類のクイックアクセスカードを厳選して配置した

  • 「最近の申請」は5件だけカード形式で表示し、それ以外の申請は「マイ申請」「履歴」から辿れるよう分けた

  • ステータスごとにハイライト色を変え、差し戻しなど対応優先度の高い案件に自然と視線が向くようにした

Before/After 2

主画面の比較②

申請詳細画面(申請者側)の改善:差戻し体験の再設計

Before

課題

以前の差し戻し画面は、申請詳細の項目がただ羅列されており、情報の階層が明確でないため、状況把握に時間がかかった。

  • ステータスが画面上で埋もれ、差戻しかどうかを一目で判断できない

  • 承認者からのコメントが一元化されているので、誰からの指摘なのかを推測する必要がある

  • 修正理由が文章のみで、何を直せば良いかを読み解く手間が発生する

再設計

After

Loading prototype...
改善点

再設計では、画面を開いた瞬間に状況がわかること、そして次に何をすればいいかが自然に伝わることを目指した。

  • 画面最上部に通知バナーを配置し、開いた瞬間に差戻し状態を認識できるようにした

  • 承認ルートを表示し、進捗状況と現在の位置を可視化した

  • コメントを吹き出し形式で時系列に並べ、誰が何を言ったかを迷わず追えるようにした

  • コメント内に指摘箇所のタグを設け、クリックで画面内の該当アイコンがハイライトされる仕組みを設けた

  • 返信機能を追加し、画面内でやり取りを完結できるようにした

Other Key Screens

他の主要画面

  1. 新規申請画面の改善:入力負担を減らし、ユーザーのやる気を引き出すフォーム設計

Before

課題

入力項目がずらりと並び、開いた瞬間にげんなりさせる機械的なフォーム。承認者へ伝えられるのは備考欄の一文だけで、状況に応じた補足や質問を残せない。

After

改善点

入力フローを4ステップに分割し、現在地と全体の進捗を可視化することで、入力の心理的な負担を下げた。承認ルートを同じ画面に表示し、申請内容と承認の流れを並行して確認できるようにした。あわせて申請時に承認者に対してコメントを残せるようにした。

  1. 承認者側ホーム画面の改善:急ぎ案件が一目で見える一覧設計

Before

課題

申請者側のホーム画面と同じく、グローバルメニューが7項目並び、どこから手をつけるか迷う作りになっている。承認待ちの申請も一覧で並ぶだけで、急ぎの案件が埋もれてしまう。「お知らせ」欄に新規申請の通知は出るが、優先順位の判断材料にはなりにくい。

After

改善点

承認者に必要な機能を「承認待ちへの対応」と「承認済み申請の確認」の2つに絞り、その他の機能はトップバー右端やアイコン内に格納した。さらに、申請ごとの緊急度を4段階のカードボタンとして画面上部に配置することで、急ぎの案件の件数を一目で把握できるようにした。緊急度順に並ぶ一覧から、対応が必要な案件にそのままアクセスできる。

  1. 申請詳細画面(承認者側)の改善:判断と対話が一画面で完結する承認者UI

Before

課題

承認者にとって必要な情報が項目名と内容の繰り返しで並んでいるだけで、申請の要点や緊急度を素早く把握しにくい作り。差し戻し時もコメントを書くだけで、どの項目についての指摘かを画面上で扱う仕組みがない。

After

改善点

承認者目線で情報の優先度を見直し、件名・申請者・金額・期限などの判断に必要な要点を画面上部にまとめて配置した。コメント機能では指摘箇所を申請内容のアイコンと紐付けられるようにし、「どこの何について」が一目で伝わる構造にしている。

Outcome

成果と学び

Before画面は、以前の職場で出会った「年数を重ねるうちに必要な機能を後付けで足し続けた結果、メニューが溢れ、機能があちこちに散らばってしまったシステム」をイメージして作成しました。設計の起点は、機能を減らすことではなく、ユーザーがこのシステムでやりたいことに優先順位をつけることです。優先順位を整理していった結果として、自然とメニューが減り、迷いの少ない動線につながったと感じています。あわせて、ユーザーがやりたいことを丁寧に追っていく中で、コメント機能や指摘箇所のハイライトのように、新たに必要だと気付いた機能も生まれました。設計とは、ただ削ることではなく、必要なものを足したり引いたりしながら整えていく作業なのだと学びました。